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2010年1月30日土曜日

父の帰宅

俺の親父が死んだ・・・涙したのは当然だった。その後はテレビで見る通りだった。医師がベッドの傍にいる家族に割って入り、患者というのか遺体というべきなのか、父の胸に聴診器をあて、瞳孔をペンライトで確認する。そして腕時計を読み、ご臨終ですと。

遺体となった父は看護婦さんに整髪、ヒゲ剃りなどの処置を施してもらい、霊安室に運ばれる。その間、手分けして身近な親戚に連絡した。不思議なもので、いざ電話すると、もうひとりの自分がいて仕事をこなすように事態を告げるのである。

霊安室は当たり前だが何とも殺風景なところで、ささやかに花と線香があげられている。壁には葬儀屋の電話番号の書いた紙が貼られている。看護婦さんにも言われていたが、まずしなければならないこと、葬儀屋を選んで電話をしなければならない。病院は家の近所で、実は私が学生の頃、4年間にわたりアルバイトをしていた病院である。当時病院職員でどこかの課の課長をしていた人が、今は退職して病院と道を挟んだ反対にある葬儀屋の後を継いでいる。選ぶ迷いもなくその葬儀屋に電話した。

後で思ったことだが、この電話をかけた時点から葬儀を終えるまでは、ぼぉーとする間もなく母とタイムスケジュールをこなすことになる。

父は遺体となって久しぶりに我が家に帰宅した。入院して約3ヶ月であった。父の命日は私の誕生日の1日前の日である。

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