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2010年1月29日金曜日

父の他界

人間が生きていくのには、食べて運動して排泄するというサイクルが欠かせないのだということを学んだ。父は手術後数日で歩くように言われ病院内を歩いていた。前の日よりも元気そうだったり、今日は昨日より元気そうでなかったりだった。手術の内容は父には内緒であった。いつまで生き延びるのか、それだけが母と私が思うことだった。でも、毎日のように病院に行き父を見ていると、いつか最期の日が来るのだという思いは頭の中を過ぎるのだが、今ここでこうしている姿を見ていると、とてもそんな時が来るとは現実的に考えられなかった。母も同じだった。

いつだったが父を見舞った時、息を荒げ、着衣を掻きむしるようにしていることがあった。ガンの痛みである。医師は点滴を入れているから痛みはないはずだというが、時々こうした行動が見られた。治まってから父に痛いの?と聞いても父は無言だった。

そしてある日、ゆっくりと呼吸をしながら病院のベットに横たわった父は段々と呼吸を鎮め、目を閉じ眠りに陥った。しばらくすると薄く目を開いた状態で夢をみているように眼球がグルグルした。見間違えたかグルグルした眼球は左右違う動きをしているようになり、どこかで一度、私は親父!と声をかけた。その時は我に返った父がいた。そしてまた眠りに入り、ハァ、ハァという呼吸はゆっくりと静まっていき、一瞬テンポが途切れた。親父!と次に叫んだのは先生!。父は母と私に看取られて息を引き取った。

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